Tポイントはどうして仮想通貨に進出しないのか
TポイントはCCC(カルチュアルコンビニエンスクラブ)が発行しているポイントです。いわゆる前払い支払い手段のようなチャージ式なものではなく、何かお買い物をした際のおまけとして付与される、いわゆるポイントです。ちなみにチャージ式の前払い式支払い手段の代表格としてはSuicaがあります。そしてTポイントと同じくおまけポイントなのが楽天ポイントです。ポイントという単語は結構ややこしいですし、利用者はあまり意識することはないかもしれませんね。
そんなおまけポイントであるですが、最近”離脱”ニュースがちらほらあります。
ファミマ、ドトールとこれまでTポイントといえば思いつくようなサービスの”離脱”が報じられています。ファミマの場合は完全な離脱というよりは、マルチポイント化、つまりTポイント以外のポイントも使えるようになるということのようです。
ポイントを使う理由は?
Tポイントに限らず、ポイントを使う利用はなんでしょうか。一番の理由はポイントの使い先が多くある。これに限るのではないでしょうか。ある特定のお店でしか使えないポイントよりより多くのお店で使えるポイントの方が人気が出るのは自然な流れでしょう。もちろんどうしても欲しい商品がある場合は別かもしれませんが、そういったことだけを狙ったポイントというのもあまりない気がします。
これを狙って各社ポイント提携先の拡大にいそしんできたわけです。楽天は自社でつかえる先をどんどんと増やしました。楽天モールに加えて楽天銀行、楽天証券などを作り、楽天経済圏と呼ばれる商圏を作ったわけですね。
一方Tポイントもファミマ、ドトール以外にもENEOS、出前館、牛角、吉野家、ウエルシア、マルエツなどなどとにかく利用先拡大を図ってきました。もちろんTSUTAYAは自社運営ですから言うずもがなです。
だから、離脱というのはすごく痛いはずなんです。ただし、CCCの増田社長のコメントは何か先を読んでいるような気もしますね。日経の記事で増田社長はファミマの離脱が最初に報じられたときの取材に対して下記のように答えています。
「こうなることは見えていたし、考えてきた。これからのことは全部ステルスでやるから、わからないと思うよ」
ステルスと言っているのは、CCCは数年前に非上場化しているので、何をやっているかは表に出てこないことがあるということです。上場会社のように発表や公開をしなくてもいいということですね。
Tポイントの提携先の離脱は見えていたということは、おそらく次の一手は打っているということなのでしょう。
CCCの買収先
そのヒントはCCCがここ何年かで買収した会社にあるのかもしれません。
徳間書店、主婦の友社の出版社2社の買収に続いてカメラのキタムラも買収しました。これらはどのような狙いがあるのでしょうか。
CCCのコンテンツ作りの狙いは?
増田社長はいろいろなところで
「カルチュア・コンビニエンス・クラブは、企画会社です」
というメッセージを発信しています。
そして現状企画としてターゲットとしているのが、出版社の買収から見るにコンテンツ作りなのではないかと思われます。そしてそのコンテンツはデジタルというよりはリアルで消費するもの。ただ、このリアルで消費というのは最近よく言われるコト・モノ消費系の体験とは少し違うかもしれませんね。というのもキタムラの買収から考えると、体験よりももっと文化的な広がり、深みがあるコンテンツ消費を作り出したいと考えているのではないでしょうか。その象徴的な場所が代官山のTSUTAYAです。座って書物を読む。コーヒーを読みながら自分の好きな本に触る、読みふける。こういった体験をすることが出来る場所が代官山のTSUTAYAです。
漫画喫茶のように狭い個室に押し込まれ、ファーストフード、甘いジュースを飲みながら、ネットをダラダラとやりながら漫画を読む空間とは全く異なります。何を求めてその場所に行くのか、ということが全く異なると言うことです。
CCCの次の狙いは
となるとCCCの次の狙いは何になるか。予想もつきませんが、無理にやってみると、、、例えば会員制のサロンのような場所とか。ある特定分野に特化した人がサロン参加者に向けて幅広くかつ深い情報を与えると共に、参加者と共に議論をしながら文化的な交流をするような場所です。
最近入場料がある本屋として話題になった文喫なんかも少し近いかもしれません。
ネットの発達、検索やソーシャルメディアによるシェアによっていろんな情報に触れられるようになりましたが、実はそれらの情報は偏っているかもしれないのです。正確ではないとは言いませんが、それまであったセレンディピティーと呼ばれる偶然の出会いのようなものはどんどんと少なくなっていっているようにも思えます。世の中のトレンドにならないといけない。そんなプレッシャーもあるのかもしれません。
しかし情報との出会いというのは本来そういったものではなく、ある日いきなり突然であった情報にほれ込む、場所にほれ込む、人物にほれ込むといったこともあるでしょう。そういった場を提供していこうとしているのかもしれません。